【暗黒の暖】②

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お前が側に いてくれるならば 俺様の価値など 本当はどうでも良いこと。 お前に 愛の証を授ける事が 出来るなら どんなに楽で 幸福な事か…。 歪んだ愛の定めを 受け入れるだろうか? 『ベラ……用意は出来たか?』 『はぃ!ご主人様』 夜が明ける前に 薄暗い荒れ果てた町並みを 二人は足速に横切る 闇に支配され、月明かりだけが静かに大地を照らし、異様な空気が漂っている。 この暗黙に支配された世界は、 お前と俺にはとても相応しい 『ベラ…………俺様は間違った選択はしておらぬ』 『はぃご主人様……心は一つでございます。』 『そうか………。』 息を切らしながら真っ直ぐ見据えるお前を、振り向き様に強く抱きしめる事が出来たなら…どんなにこの痛みは癒されるだろうか。 お前の真っ直ぐな忠誠心は、俺様への恐怖心から来るものではなく、ただ素直な女の愛その物だと分かっているのに……。 歪んだ俺様の愛の証を腕に刻み……お前は腕の闇の印を愛おしむように眺める。 この愛は 強く 熱く 激しく 俺様の幼き日々の空白を 虚しさを 苛立ちを そして 限り無く続くであろう悲しみの全てを一瞬で溶かして行く。 ほんの少しだけ 母親の如く抱きしめる。 だが、もう……遅いのだベラ! 瓦礫と化した建物のように俺様の魂は切り裂かれてしまったのだ…。 この魂は、お前のような純粋な女の魂が触れた瞬間に、紛れも無く崩れ落ちてしまう。 許してくれベラ! お前の魂と交わる勇気のない俺様を…。 『ベラ……!お前だけに俺様の秘密を授けよう』 『はぃご主人様!有り難き幸せ』 だから、お前には何も告げずに俺様の分身である魂の一部を託そう…。 そうする事でしか俺様の愛をお前に伝える事が出来ないのなら…。 この空白の冷たい魂に、お前の愛を継ぎ足して生きる事でしか、自分を保つ事が出来ない俺様を笑うがいぃ……。 そして、何時の日かお前は俺様を裏切り遠くへ行ってしまうだろう………。 その時でも分身と共にお前と一緒に居られるならば。
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