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途切れ途切れに音が聞こえる。 そして、上から音がして、 近くの階段を一気に駆け上がった。 『♪~♪♪~、♪』 ―――ガラッ!!!!! ピタっと音が止まる。 聞こえるのは私の、 荒い息遣いだけ。 目の前には、ピアノの椅子に座った、 とても吹奏楽部には見えない男の子。 「…誰?」 ハッとした私は咄嗟に答えた。 「いっ!一年三組佐倉唯です!」 「………」 あれ? 何この空気… …あ、もしかして…!!! 「おっ、お邪魔でしたね!失礼しまし―」 「ぶはっ!」 なっ、なぬっ!? わ…笑われた…! 何故!? 「あ、あの~…」 下を向いて笑ってた男の子は、 バッと顔を上げて、 ものすごく爽やかな笑顔でこう言った。
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