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「ここに座りなよっ!」
ニカッと笑う安代先輩。
私は自分の鼓動が先輩に聞こえないように
するのに必死だった。
「ふぅー…んじゃ弾くね。『波のアラベスク』。」
『♪~♪♪♪~♪♪♪~♪~♪~♪♪』
わあ…!
凄い
凄い…!
ピアノって、
こんなに綺麗な楽器だったの…?
それに…
先輩の真剣な顔。
よく見ると先輩は、
綺麗な顔立ちをしていた。
だから、少し長めの茶色い髪が
とてもよく似合っていた。
「…よし、成功♪」
私は今だに感激しすぎてて
声が出なかった。
「はははっ!唯ちゃん口!口!ぽかーんて!あははははっ!」
「…っあ!わ、私…こんなに音楽に感動したの、初めてで…」
上手く言い表せないけど、
とにかく凄かった。
「あっ、あのっ!安代先輩!ピアノ…また聞かせて下さいっ!」
また聞きたい
どうしても。
勇気を振り絞ってそういうと、
またあの笑顔で先輩はこう言ってくれた。
「いいよっ!次からは悠佑君でいいからね!」
【いいよっ!】
その言葉を聞いて、頬が緩んでしまった。
「あ、あと俺ほんとはサッカー部だから、ここには部活がない日に来てるんだ!だから、またタイミングが合った時ね!じゃ、ばいばい唯ちゃん!」
…何なんだろう……この気持ち。
ドキドキが止まらないよ―――
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