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『先生、彼の容態は…?』
彼女は、診察に当たった医師に聞いた。
『ふむ…恐ろしく血が流れていましたが…
命に別状はありません。
しかし…』
彼は、看護婦が流す水で手を洗いながら、話をしていた。
『しかし…?なんですの?』
心配そうな面持ちで、女性は問いかけた。
『足の傷は…ここでは治療が無理です。
どこか大きな街の病院で手術をしないと…
一生まともには歩けんでしょうな…』
医師は手を拭きながら答えた。
女性は、意識が戻らず、あちこちに包帯が巻かれた、猟師の顔を見つめた。
『この人…名前は?』
彼女は医師に聞いた。
『ああ…彼は、猟師でしてね、グラバーと言います。
変わり者でして…
村の誰とも付き合いが無くて…森で一人で暮らしてますよ』
医師は淡々と話した。
『そう…きっと狼にでも、襲われたのね…』
女性が、心配げにそう言うと…
医師がぽつりと言った。
『いいえ…ただの狼ではなく…ウェア・ウルフですよ…』
『え…?!』
女性は、思わず驚きの声をあげた。
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