第一話…人狼と男と女

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ウェア・ウルフが、街に現れたのを知らないグラバーは、平穏な日々を送っていた。 そんなある日… 彼はエレナの父親に会った。 エレナの父親は、彼を殊の外(ことのほか)気に入り… 彼とエレナの結婚を許した。 その夜…彼は外で月を見ていた。 「ウェア・ウルフと最後にやり合った夜も…こんな感じの満月だったな…」 彼はそんな事を思いながら…月を眺めていた。 『あら、グラバー…何をしてるの?』 後ろから…不意にエレナの声がした。 『ん…月を見ていた。』 彼はそう言い…また顔を上げた。 『ふーん、けど良かったわ…お父様が貴方を気に入って下さって♪』 喜ぶエレナに、グラバーは戸惑いながら答えた。 『うん…けど俺、いや…僕は、海を見た事が無いんだよ?』 エレナの父親は海運業を営んでおり… その世界では名前の売れた人物だった。 猟師で、そんな事業のイロハも知らないグラバーは、その進展の速さに戸惑いを覚えていた。
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