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ウェア・ウルフが、街に現れたのを知らないグラバーは、平穏な日々を送っていた。
そんなある日…
彼はエレナの父親に会った。
エレナの父親は、彼を殊の外(ことのほか)気に入り…
彼とエレナの結婚を許した。
その夜…彼は外で月を見ていた。
「ウェア・ウルフと最後にやり合った夜も…こんな感じの満月だったな…」
彼はそんな事を思いながら…月を眺めていた。
『あら、グラバー…何をしてるの?』
後ろから…不意にエレナの声がした。
『ん…月を見ていた。』
彼はそう言い…また顔を上げた。
『ふーん、けど良かったわ…お父様が貴方を気に入って下さって♪』
喜ぶエレナに、グラバーは戸惑いながら答えた。
『うん…けど俺、いや…僕は、海を見た事が無いんだよ?』
エレナの父親は海運業を営んでおり…
その世界では名前の売れた人物だった。
猟師で、そんな事業のイロハも知らないグラバーは、その進展の速さに戸惑いを覚えていた。
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