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グラバーとエレナが帰宅したのは…その日の夜遅くだった。
『慈善団体の集まりも良いが…すっかり遅くなったな…』
くたびれた表情を浮かべるグラバーに、エレナが微笑みかけた。
『これもお仕事よ♪』
『まぁ…そうだな。ん…なんだ?』
いつもは出迎える、クロードとキャシィの姿が無い…
グラバーは屋敷の異変に気がついた。
試みにドアを開けてみると…
鍵は掛かっておらず…
中からは…微かな血の臭いと…
獣の臭いがした…
そして…彼らは居間に、変わり果てたクロードとキャシィの姿を見つけた。
『奴だ!ウェア・ウルフの仕業だ…あ!サラは…』
グラバーは階段を駆け上がり…サラが居る寝室へと向かった。
寝室のドアを開け…中に入ると、そこには…ウェア・ウルフが立っていた。
『久しぶりだなぁ…グラバー。ずいぶん捜したぞ?』
彼は手に握った物を、グラバーの眼前に放り投げてよこした。
それは…小さな、赤ん坊の…サラの手だった。
『グラバー…お前の娘は…美味かったぜ』
『き…貴様…』
怒りに打ち震えるグラバーを尻目に…
ウェア・ウルフは二階の窓から飛び降りた。
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