第一話…人狼と男と女

24/27
前へ
/76ページ
次へ
グラバーとエレナが帰宅したのは…その日の夜遅くだった。 『慈善団体の集まりも良いが…すっかり遅くなったな…』 くたびれた表情を浮かべるグラバーに、エレナが微笑みかけた。 『これもお仕事よ♪』 『まぁ…そうだな。ん…なんだ?』 いつもは出迎える、クロードとキャシィの姿が無い… グラバーは屋敷の異変に気がついた。 試みにドアを開けてみると… 鍵は掛かっておらず… 中からは…微かな血の臭いと… 獣の臭いがした… そして…彼らは居間に、変わり果てたクロードとキャシィの姿を見つけた。 『奴だ!ウェア・ウルフの仕業だ…あ!サラは…』 グラバーは階段を駆け上がり…サラが居る寝室へと向かった。 寝室のドアを開け…中に入ると、そこには…ウェア・ウルフが立っていた。 『久しぶりだなぁ…グラバー。ずいぶん捜したぞ?』 彼は手に握った物を、グラバーの眼前に放り投げてよこした。 それは…小さな、赤ん坊の…サラの手だった。 『グラバー…お前の娘は…美味かったぜ』 『き…貴様…』 怒りに打ち震えるグラバーを尻目に… ウェア・ウルフは二階の窓から飛び降りた。
/76ページ

最初のコメントを投稿しよう!

107人が本棚に入れています
本棚に追加