憧れと苦悩

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その後は特に何もなく、西野に案内されながら歩いていった。そして着いたのはアパート。 「お前一人暮らし?」 「はい。親とは諸事情で両方と別居しています」 一人暮らしかぁ。大変そうだな。 「ここまで来ればってか、もう着いたしな。俺は帰るぜ」 此処まであんまりウチから遠くなかったし帰るのにもあんまり時間はかからないだろ。 「じゃあな……」 と俺が歩きだそうとしたら……服の裾を引っ張られたのが分かった。 「あの、もし良かったら……朝、ご一緒しても良いですか……?」 出たよ女の子の必殺技。上目遣い+潤んだ目でお願い。あいにく今の俺には通じないが、ふつうの男子ならいちころだろう。 「朝?良いけど、別に」 俺の家も一応教えたし。場所が分からないことは無いはずだ。 「ありがとうございます!」 元気良く西野が言う。西野のその笑顔を見て俺も自然と笑顔になる。 「またな」 軽く片手を挙げて別れを告げた後、俺はさきほどの道を逆に歩いていった。
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