憧れと苦悩

2/23
前へ
/296ページ
次へ
「――あれキョウ君じゃない!?」 いつものように聞こえる女子の声。……俺が嫌いな女子の声。 「そうだよ!彼ってかっこいいよね~」 まだ聞こえる。ただ廊下をあるいているだけでこれだ。 「声かけてみよっか?」 「無理だよ。私たちなんかじゃ相手してもらえないよー」 当たり前だ。俺は女が嫌いなんだ。近づくだけでも許さねぇ。 「一緒に帰れるかな?」 しかし、女達は俺の意に反して更に近づこうとする。 「え~?難しいよ。声かけるだけでも勇気いるもん」 だったら止めろ。さっさと俺の周りから立ち去れ! 「でもでも~。言うだけなら大丈夫じゃん?」 この言葉が俺の逆鱗に触れた。 「何なんだよ!お前等は!いっつもキャーキャーうるさいんだよ!」 俺が怒鳴る事を想定していなかったのであろう。周りで俺の噂話をしていた女子は黙ってしまった。 ……もう俺に関わらないでくれ。
/296ページ

最初のコメントを投稿しよう!

4283人が本棚に入れています
本棚に追加