第1章 招待状 ~僕と電波のいい旅夢気分~

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  果てしない、ともすれば呑み込まれてしまいそうな程の暗闇の中で、遠くの電灯だけが小さな光を放っていた。 僕は橋の手すりに腰掛けて、ワケもなくただゆらゆらと揺れる川の水面を見つめている。 多分、今の時刻は午前3時前後。 十分に真夜中と言える時間帯だ。 こんな時間にこの古びた橋を渡る人なんて、まずいない。 いたとして、自殺志願の放浪者か、道に迷った酔っ払い。 それ以外では確実に僕くらいしかいないだろう。 だから 僕はこの場所が一番好きだった。 別にそこまで一人が好きなワケじゃない。人並みに友達だっているし、そこまで暗い奴でもないつもりだ。 でも、誰しも一人になりたい時がある。 そんな時、僕は必ずここに来る。 落ち着くからだ。この暗さと、人気の無さが。 何となく、世界には自分しかいないんじゃないだろうか、なんて気になる。 橋の上に吹く夜風が、酷く心地良い。 鈴虫の鳴き声しか聞こえない。 リンリン、軽快に。まるで演奏会でもしているかのように。 この世界にはもしかしたら、僕と鈴虫しかいないのではないだろうか、なんて気がした。  
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