第1章 招待状 ~僕と電波のいい旅夢気分~

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  時針が8と9の間を指す頃、僕はようやく我が家へ辿り着いた。 お世辞にも綺麗とは言えない、とてもボロいアパートの一室。 狭くて窮屈で、隙間風がふんだんに入り込む、少し肌寒いその部屋が、僕の根城だ。 裏にお墓があるせいか、ただでさえボロくて住む人がいないこのアパートは、タダ同然の値段で借りる事が出来るので、ひもじい学生である僕は随分助かっている。 のろのろと部屋の扉の前まで歩いて行き、普段全く活用される事のないポストの中を覗くと、意外や意外、珍しい事に白い封筒が収められていた。 これは一体何だろう? 当然の如く、僕の頭に疑問符が浮かぶ。 が、特に思い当たる節もなく、何も考えずに封筒を手に取り、中身を取り出した。 封筒の中には、四つ折りにされたB5の紙が一枚と、カードのような物がこれまた一枚入っていた。  
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