16人が本棚に入れています
本棚に追加
時針が8と9の間を指す頃、僕はようやく我が家へ辿り着いた。
お世辞にも綺麗とは言えない、とてもボロいアパートの一室。
狭くて窮屈で、隙間風がふんだんに入り込む、少し肌寒いその部屋が、僕の根城だ。
裏にお墓があるせいか、ただでさえボロくて住む人がいないこのアパートは、タダ同然の値段で借りる事が出来るので、ひもじい学生である僕は随分助かっている。
のろのろと部屋の扉の前まで歩いて行き、普段全く活用される事のないポストの中を覗くと、意外や意外、珍しい事に白い封筒が収められていた。
これは一体何だろう?
当然の如く、僕の頭に疑問符が浮かぶ。
が、特に思い当たる節もなく、何も考えずに封筒を手に取り、中身を取り出した。
封筒の中には、四つ折りにされたB5の紙が一枚と、カードのような物がこれまた一枚入っていた。
最初のコメントを投稿しよう!