新しい命

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風子「おねぇちゃんは、学校の先生だったから現実的すぎるんです」 公子「お姉ちゃんは、美術の先生だったの。アート。わかる?」 風子「なら、風子の言うこと、とらえてください」 公子「とらえどころがないです」 風子「そうですか。なら、現実至上主義のおねぇちゃんにわかりやすく言います」 公子「そうしてもらえると、助かります」 風子「助けましょう。では、もう一度言うので、なんの匂いか訊いてください」 公子「はいはい」 風子「誰かがいます」 公子「え?」 風子「え?じゃないです」 公子「質問変わってるよ?今の質問に、なんの匂いか訊くの?」 風子「そうです」 公子「それだとお姉ちゃん、ヘンな人だよ?」 風子「大丈夫です。風子がフォローします。もう一度いきます」 公子「はい」 風子「誰かがいます」 公子「なんの匂い?」 風子「きっと…風子に会いにきたんです」 公子「ぜんっぜん、フォローしてくれてないよね?」 風子「どうして、驚いてくれないんですか。誰かが風子に会いにきたって言ってるんです」 公子「どうか、こんな子でも、たくさん友達ができますように…」 風子「もう一度いきます」 公子「お望み通りに」 風子「誰かがいます」 公子「なんの匂い?」 風子「きっと…風子に会いにきたんです」 公子「えっ、どういうことですかっ」 風子「…可愛らしい匂いです」 公子「もう文脈めちゃくちゃだよね」 風子「そこで、眠っています。誰かに起こされるのを待ってるんです。ですので…いってきますっ」 公子「えっ、ふぅちゃん、どこ行くのっ?」 風子「おねぇちゃんも会いたかったら、早くきてください。あそこに生えている木の下ですっ」 公子「誰がいるのっ?」 風子「わからないです。でも…とても可愛らしい子ですっ」 公子「ふぅちゃんってば、ふぅちゃーーーんっ。ほんと、あの子は、もう…」
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