プロローグ

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―――――――― もう少し上の高校を目指せと先生に説得されたが、親の都合で少し偏差値が落ちるが近場の中堅進学校へと志望校を妥協し、受験し、合格し早一年と二ヶ月の時が過ぎた。 部活などは特に興味がなくダラダラと惰性と妥協と思わず三歩引いちまうなと友人達に言われた不器用な愛嬌を振り撒いて毎日を過ごしてきた。 『頭の悪い兄さんなんてタンパク質のないプロテイン以下』 妹による意味の分からない迷言を引用したのはさておき、 勉強は妹の威圧と帰宅部なりの意地のおかげでかそれなりの成績をキープ出来ているので人としての威厳は保ていたりする。 そのせいで友人からは裏切り者と罵られた事もあった。 「俺頭のいい奴見ると無性にボクシングしたくなるんだ」 1学期の期末テストが終わると同時にそう言って俺にファイティングポーズを見せる友人F。こいつの頭の中身の軽さはパチンコ玉並だと考えてもらっていい。というか眼球と頭蓋骨が頭の重さの9.9割を占めてしまっている可哀相な奴だ。 「世界王者になったらファイトマネー半分くれよな」 友人Hも続く。 「俺もファイトマネーだけはありがたくもらってやるよ」 友人Yも続く。 「私もファイトマ――――」 友人Kも続―― 「俺もファイト――――」 クラスメイトのTも―― 「僕は彼女が――――」 知らん人―― 「金くれ」 Fの元彼女。 「時間返して」 「お前らには子供銀行一円分もやらんわっ!!てか誰かボクサーについて突っ込んでくれよ!!……てか時間とかリアルなのは本当やめて」 Fはあっさり泣き崩れた。基本アホだからね。  
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