何だ?

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はい。 おはよー、俺。 ただいま俺は泣きそうです。 「さっさと金出せよ!!」 「桃!!親になんてこと言うの!! 毎晩毎晩…」 パシンッ 乾いた音がリビングに広がる。 金髪の女と、女が…まあ、俺の母親(?)がリビングで言い合いになってた。 数秒前まで。 金髪の女が俺の母親を殴ったから今は殴り合いになった。 …なんかむかつく。 金髪の女に心の中で金髪と名前をつける。 まあ、俺は戻れなかった。 前の俺に。 はぁ……。 何なんだろな、これ。 受け入れたくない。 「進!!!何睨んでんだよ!!!! てめーは金持ってねーの??」 金髪が俺に近付く。 ちょっと待て、もしかしてこいつ俺の家族? 「持ってんだろ?出せよ!」 「くさ……」 …臭い。 「おい、金髪。お前ちゃんと風呂入ってんのか? すんげー臭いぞ。香水してんのか知らねーけど香水と体臭が混ざって物凄い臭いに」 バチンッ!!! 殴られた。 まあ大体予測してたけれど。 「痛ってえな」 「死ね!!」 金髪はそう言い放つと出ていった。 嵐の前の静けさと嵐の後の静けさ。 今は後者だろう。 「進、ごめんね…私が…ちゃんとしないから……」 母親は、泣き出した。 …何で泣くんだよ 「あんたあの金髪女の親だろ? 悪いけど俺やっぱなんも思い出さねーわ。 …殴り返してやればよかったのに」 どっちかというと俺が殴り返したいのだが。 頬が痛い。 あれが姉(妹?)ならこの状況は悲しいんだろうが正直今会ったばかりだ。 何も思わない。 ただ、この母親は頬なんかより心の方が痛いんだろう そう思った。 「あの子がああなったのは私のせいだから…… 離婚して働き詰めになって、あの子に構ってあげられなくて… いつの間にかこんな風になってた。 私のせいなのよ………」 なるほど。 そんな事情があったのか。 これ、俺が解決すべきなのか? 「ちょっとお尋ねしたいのですが」 「何……?」 「俺とあの金髪はどういう関係ですか」 …。 重苦しい雰囲気を消し去りシラけた空気全開にした俺の発言。 知らないことは聞いていいと思う。うん。 「進…あなた…記憶喪失なの…?!」 泣き出す母親。 悲しみが増幅したようだ。 「…ごめん」 もう俺が泣きてえよ
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