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「とにかくだ!」
オレンジの不良はゼノのネクタイをひっつかむと、
鼻が触れそうな程の至近距離でにぃ、と笑った。
「無礼者に今から制裁を加える」
何を言っているんだ、と言いかけたゼノの視界がぶれた。
平衡感覚を失い、
思わず民家の塀に手をついた。
額が痛い。
どうやら強烈な頭突きを食らわせられたようだ。
揺れた脳は簡単にはおさまってくれない。
ゼノは反射的にオレンジの不良の手をつかみ、
とりあえず距離をとろうとした。
しかし、
ネクタイをつかんだ手は一向に離れない。
「…キミ、力強いね」
「だって男の子だもん」
語尾にハートがついた。
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