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屋上の扉の前にたどり着き、
ゼノは『職員室』と書かれたそれを二、三度見直した。
「…帰ろっかな…」
扉を開けようという気にはどうしてもなれない。
何故なら墓石に職員室、と刻まれているのだから。
しかしゼノが面倒くさくなり踵を返したと同時、
職員室の扉は内側から勢いよく開かれた。
ゼノは振り返りたくなかったが、
妙な視線を感じていやいや振り返った。
そしてやはり振り返ったことを後悔した。
振り返ると同時に顎にそえられた指、
必要以上に近い男の顔。
スーツを着込み、職員室から出てきたのだから教師なのは間違いないだろうが、
その顔はよく見ても中学生くらいにしか見えない。
口にくわえられたポッキーが余計にそう思わせる。
「…キミ可愛い顔してるね。
どう?
オレと一発…」
ゼノは男が握りしめていたポッキーを素早く二本抜き取り、
器用に男の鼻に突っ込んだ。
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