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「うっとうしいなぁ…」
ゼノの言葉に、
ユウの瞳から大粒の滴がこぼれ落ちた。
「そ、そうだよね…ごめ…」
「だから、いちいち謝んないでよ。
何もしてないのに何で謝るのさ」
予想外の優しい言葉にユウは目を見開いた。
ゼノはベンチに座り直して頭をガシガシと掻く。
「どういう経緯でキミが生徒会長になったのかは知らないけどさ、
とにかく今はキミが生徒会長なんでしょ?
うじうじしてないで胸張ってりゃいいじゃん」
違う?、と睨んだゼノの瞳は鋭かった。
ユウは一瞬ひるんだもののすぐに笑みを浮かべた。
「ありがとう、ゼノくん。
…ゼノくんはすごいなぁ…
こんなボクを認めてくれるなんて…」
シュンといきなり表情をかげらしたユウを見て面倒な空気を察知したゼノは素早く立ち上がった。
「まぁ、適当にやりなよ。
じゃ、ボクはこのへんで…」
しかし、ユウが心を決めるのは意外にも早かった。
「待って!
…ゼノくん、生徒会に入ってくだしゃい!!」
勢いよく頭を下げたユウ。
「…かんでるし…」
ゼノは深いため息をついた。
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