握る事をためらった‥

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 それは‥薄暗い廊下にギラついた目で文化包丁を持って立っている母の姿だった。 そして鏡越しに、間違い無く、そのギラついて濁った目と僕の目は合っている。 僕は "殺される" "逃げなきゃ" ‥なんて考える余裕も無いくらい頭の中が真っ白で息をする事も出来なかった。  あれはどれくらいの時間だったのだろう? 喉の渇きはどこかに消えていた‥
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