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目覚めは最悪だった。脳裏に焼き付いて離れないあの日の夢。
「……最悪。」
誰にでもなく呟き、ベッドから起き上がった。カーテンを明けると人工的な青空が広がっていた。『ヘリオポリス』それがこのコロニーの名前だ。アークエンジェルへと配属が決まり、地球軍の開発した新兵器、通称『G』その中の一機のパイロットに選ばれこのコロニーにやってきた。
久々にみたあの夢、全てが儚くも崩れ去ったあの瞬間が脳裏に焼き付いて離れない。気が付けばこんな場所まで来ていた。後戻りのできない道。それでも進しかない………
気を紛らわすためにテレビをつけた。相変わらずどのチャンネルでも戦争関係の番組しか映っていない。嫌気がさしてすぐに電源を落とした。
不意に、部屋にコール音が鳴り響いた。
「はい……ラインヴァルグです」
相手は同じ地球軍のマリュー・ラミアス少尉だった。なんでも、開発の遅れていた『エクセリオン』がようやくロールアウト間近になったらしく、その調整に付き添ってくれとの内用だった。すぐに向かうと返答し、通信を切ると軍服に袖を通した。
『エクセリオン』それが俺に与えられた『G』の名だ。この機体が奴らと戦う俺の切り札になることは間違いなかった。待ち望んだ日は目前に迫っていた。
簡単に支度をすませて部屋をあとにした。……きっと今の俺は微笑を浮かべてるんだと思う…………
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