□第3章□

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「…ただいまっ」 あのあと、しばらくの間は榊さんの出ていったドアをぼうっと見ていたが、夕方の5時を過ぎてしまったことに気づくと急いで家に帰った。 「おかえり、なさい…」 そう言ったお母さんの目が、心なしか赤かった。 泣いたの? 何で、かなー…? 「夜ご飯なあに?」 お母さんはずっと、複雑な、今にも崩れてしまいそうな表情をしていた。 きっと知っていた。 欄舞が男子校だということを知ってた。 知りながら、私に云わなかった……。 「今日はチャーハンとレバニラと…まあ、中華よ」にこっ きっと、榊さんもただの知り合いなんかじゃないよね。 もっと何か近い…… “血縁”がありそう、かな。 「お腹減っちゃった! 食べよ食べよ♪」 「そうね」  
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