大学生 かなみ

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私は今年から大学に行くために東京へ来た。 最初は普通の大学生だった、友達と遊んだりサークルで合宿に行ったり。 だけど一人暮らしってお金のやりくりが大変だった。 いろいろバイトもやったけど体がもたなかった。 だから短い時間で出来るだけ多く稼ぐために夜の仕事を始めた。 それがすべての始まりだった。 キャバクラで働くことに抵抗はあまりなかった。親にばれるなんてことはないみたいだったから。 週に3日だけでも前にやってたコンビニのバイトの倍は稼げた。 オヤジの相手はだるかったけど、前よりも良い生活が出来たし、貯金もできていた。 ある日仕事終わりに先輩の亜衣さんが話かけてきた。 「かなみちゃん、今日なんか予定ある?」 「なにもないですよー」 「今日さぁ、みんなであそこに新しくできたホスト行こうと思ってるんだけど、かなみちゃんもいかない?」 「ホストですか・・なんか怖そうですね」 「そんなことないよーその店のHP見たんだけどちょーイケメンいるし、怖い奴なんかいないっしょ!」 「そうなんですか、今日暇なんでいいですよ」 「決まりねー、仕事がんばって王子に癒されよー」 正直あまり気はのらなかったけど、亜衣さん先輩だし。 みんなも行くのに私だけ行かなかったら変な感じになるし。 断れない性格な私は行くことになってしまった。 お金の不安は少しあったけど、初回は無料だって亜衣さんが言ってたから平気だろうと思ってた。 それから普通に仕事をして、閉店後に着替え、店を出ると亜衣さんが一人で待っていた。 「あれ?みんなでいくんじゃなかったんですか?」 「なんかみんな忙しいってさ、ちょーノリ悪くね?」 「あーそうなんですか」 「じゃ行こっか!」 亜衣さんはウキウキしていた。 私は理解できなかったけどあわせて笑ってた。 歩いて3分の場所にそのお店はあった。 club tripという綺麗な看板が出ている。 「いくぞー」 亜衣さんがテンション高めでドアをあける。 「いらっしゃいませー、初回二名様ですねー。年齢確認宜しいですか?はい、ありがとうございます。ではご案内します。」 亜衣さんと私に対して二人のホストが席まで案内してくれた。 「こちらにどうぞ、ひざ掛け失礼しまーす。じゃあお手前失礼しまーす、優です。」 今までに見たことのないくらいととのった顔立ちに細身のスーツ、いかにもホストという感じ。それが優だった。
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