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優は疲れていたのか布団に入るとすぐに寝息をたてて眠ってしまった。
そんな優の寝顔を見て私も安心してすぐに寝てしまった。
次の日、私は大学で授業があったから、優を起こさないようにこっそり家を出た。
友達と一緒に授業を受けているとケータイが鳴った。
優からだった。
授業中だったから私はとっさに携帯の電源を切った。
寂しがりやの優のことなにもかんがえてなかった。
授業を終えて、ケータイの電源を入れると留守電を知らせるメッセージが何通も入っていた。
全部優からだった。
すぐに優に電話をする。
「もしもし、ごめ・・・」
謝ろうとしていた私は電話の向こうから聞こえてくる優の泣き声に驚いて言葉を失ってしまった。
「どこいったの?電話きったよね?俺のこと嫌いなの?」
「そんなことないよ、ごめんね。言ってなかったけど私、大学生なの、だから今大学で授業受けてたんだ。」
優は拍子抜けした様子だった。
「そっか。そうだったんだ。」
今思えば、この時から優の態度が変わった。
家に帰ると優はいなかった。
電話をしても繋がらない。
メールも帰ってこない。
二人分買っていったお弁当は優の分だけ寂しそうに机に置かれたままだった。
私は忙しいんだろうって思ってあまり深く考えなかった。
そして、その日の2時過ぎ頃玄関のチャイムが鳴った。
ドアを開けると優がいた、ひどく酔っ払ってた。
「どうしたの?そんなに酔って。」
「今日客呼べなくてさ、ずっとヘルプで飲まされてた。」
「だめじゃん、自分のペースで飲まなきゃ!」
「何も知らないくせにうるせぇな。客呼べない奴は飲むしかないんだよ、人間じゃないんだ。飲むだけ。飲んでそいつの売り上げ上げるだけ。」
「そっかごめん。」
「疲れたからもう寝るね。」
「うん、おやすみ。」
優は酔って感情的になって泣いていた。
でも私には何もしてあげられなかった。
家でゆっくり休ませてあげるくらいしかできなかった。
次の日も私が学校に行って家に帰ると優はいなかった。
でも2時を過ぎる頃に帰ってき
た。
そんな生活が1ヶ月続いた。
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