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「明け方まで任務についていて、今帰ったんだ」
サンドイッチを1つ摘まみながらテルミットは言った。
「今まで?」
よく見ればテルミットの目の下に微かに隈ができていた。
そんな夜通しの任務は絶対にフェイトには回ってこない。
テルミットを含む残りの5人はフェイトが夜が苦手なことを知っていたためだ。
その代わりフェイトには昼間にかなりの任務が入っている。
《ヴェルサス、任務が入りました》
フェイトの頭に声が響いた。
女性のか細い声は続ける。
《クラスSの討伐です、至急作戦本部室まで来てください》
ヴェルサス
フェイトたちの部隊名であり王国騎士の特殊機関である。
この様にヴェルサスの隊員には脳波に直接指令が入る。
それは任務内容を極秘にするためである。
クラスとは任務の危険度を表し、Sは最も危険が高いということである。
それが城内に伝わらない様に脳波に直接伝えるのである。
「さて食べ終わったし、食後の運動にでも行くか」
両手を合わせ、フェイトは丁寧にお辞儀をした。
どんな時でも食への感謝を忘れないフェイトである。
「いいのか?クラスSだったら俺が行ってもいいが」
「黙れぃ!お前は完徹でヘロヘロなんだ、しっかり休め。
んじゃ、トレイよろしく」
それだけ言ってフェイトは駆け足で食堂を出ていった。
残されたテルミットは同じく残された皿を見て頭が痛くなった。
「また問題起こさなければいいが」
テルミットの心配はフェイトの素行だった。
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