一難去ってまた一難

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《この5体のキメラはベースがバーバリアンなため知能は低い。だが肉体強化に重点を置いたらしく、破壊力は桁外れに上がっている》 元々バーバリアンは攻撃的な性格であり、よく村や町を襲う傾向にある。 その改良版が今、野に放たれたのだ。 エルテルとしては穏便にことを進めたいはずである。 《幸い被害は出ていないが、いずれ大惨事になる可能性が高い》 「あの。そいつらの生物データはないの……ですか?」 危うくタメ口になるところだった。 流石にこの状況で身勝手に振る舞えるはずもない。 《今出そう》 センドの声と共にスクリーンの画面が変わった。 映し出されたのは鬼の様な形相のキメラ。 口の左右から巨大な牙が生え、額にはユニコーンを合成したのだろう、一角があった。 体の色は赤で、所々に黒い毛が生えている。 中でも驚いたのがそのキメラの背中からは大きな両翼があった。 《バーバリアンにユニコーン、グリフォン、ウルフ、ワイバーンの合成だ》 エルテルも思いきったことをしたものだ。 キメラの製造はA級犯罪であり、死刑は確定である。 キメラを作るなんてわざわざ死にに行くようなものだ。 ふと気付くと何やら騎士の1人がセンドに何かを手渡した。 センドはそれを確認すると急に大きく目を見開いた。 センドが驚くと言うことは更に悪い報告なのだろう。 フェイトの予想は的中することになる。 《今入った情報を伝える。 このバーバリアン、数滴だがドラゴンの血が混ざっている》
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