一難去ってまた一難

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通常ドラゴンの血は錬金術など、限られた分野だけしか扱うことの出来ない代物である。 ドラゴンの血を体内に組み込むと、体細胞が突然変異を引き起こす。 皮膚の硬化、心肺機能の向上、自己回復力の向上、身体能力の向上など様々に得することがある。 だがそれに見合う代償を払う必要があるのだ。 体細胞が突然変異を起こすということは体質の変化を意味する。 当然拒絶反応を引き起こすわけである。 拒絶反応は発作となって当人が死ぬまで続き、血肉を引き裂き、最早異形の産物となってしまう。 過去に一度エルテルの科学者が人体のキメラ化を行うため、王国に死刑囚を移すように依頼したことがあるらしい。 まだキメラ化が禁止されてない時代であり、王国としてもキメラ化には多くの期待をよせていた。 だがその実験で使われたのがドラゴンの血だった。 たちまち死刑囚は拒絶反応を引き起こし、研究所を脱走した。 手に負えなくなったキメラをエルテルはどうすることもできなく、王国騎士にすがりついた。 だがまもなくしてキメラはアルデヒドに侵入、破壊の限りを尽くした。 フェイトはその時はまだアルデヒドにはおらず実際の現場は見ていなかったため詳細は知らなかった。 だが記録でははっきりと残されていた。 民間人を含む死者153名、重傷重体であったものが1000名を越す大惨事であった。
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