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さらに数日後。
真夏に向けてかなり暑くなっていくようで、俺は少しバテながら筋トレをしていた。
友紀先輩はあまり台詞をかまなくなった。
ちょっとは親しくなれたかな?と、嬉しくて舞い踊る気分で夏休みを過ごしている。
それに、毎日が充実している。
……ほんの気まぐれで入ったアーチェリー部だったが、今では地味な競技ながら気に入っている。
部活も楽しめて、好きな人に夏休みもほぼ毎日会える。
素晴らしい毎日。
「こら。崇君ちゃんと筋トレしないと、弓を引かせないよ?」
「あー……すみません」
「ほら、続けて続けて」
怒ったところも可愛いな。
……にやついていたら睨まれた。
……、……真面目にやろう。
同級生の話だと、友紀先輩は怒ったらかなり怖いらしいし。
……たしか中学のときは剣道部だったんだっけ……?
……、……何で中高と人を殺せそうな競技ばっかりやってるんだ……?
ほんの少し、ぞっとした。
うん、真面目にやろう。
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これが、俺と友紀先輩との再会だった。
俺が友紀先輩に恋心を抱いているのとは裏腹に、友紀先輩は俺をただの後輩としてしか見ていなくて……。それが少しだけ切なかった高校1年生の夏。
俺は、少しずつ友紀先輩の側に近づこうと思っていた。
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