Shed tears

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・・・・・・・・・・ 3日後。 夕日が差し込む2年生の教室。 その教室の中に3人の人影。うち1人は私。そして残りの2人は同じ演劇の責任者。 2人は眉間にしわを寄せながら私の書いた原稿を真剣に見入っている。 「……どうかな?」 自分なりに何とか納得のいくものが書けたのはつい十数分前。 しかし、この2人を納得させる自信がない。 この2人はいつだって真剣で、容赦がない。 「いいと思うよ、友紀!!」 「じゃぁ、コレで練習していこうか……もう少し台詞を足したら完璧」 と、笑いながら2人が言った。 崇に見てもらいながら原稿を書き上げて、2人のところに持っていった。 正直、自信が、全くなかった。 それなのに、色んな面でいつも真剣な2人が……認めてくれた? 「……ぇ……本当に?こんなので大丈夫?変なところはない?」 「友紀は心配性だね、大丈夫。すっごくいいとおもうよ」 「俺も、いいとおもう。直すところを直したら、この劇やってみたい」 「本当?」 「「本当!!」」 にっこり笑ってグッと親指をたてて笑いかける2人。 私は嬉しくて嬉しくて、2人にお礼を言ってから教室を飛び出した。 2人がニコニコと笑いながら手を振ってくれていた。 私が向かう先は、部室。 小走りで、廊下を進み階段を下りる。中庭を抜けて、部室への道を走り抜ける。 つい数十分前までいたんだ。多分、まだ崇はいるだろうから……一番にこの喜びを崇に伝えたかった。 「……崇っ!!!」 「……、……あれ?」 空の部室。 誰も、いなかった。 崇は……帰ってしまったんだろう。 なんだか無性に寂しくなった。 ついさっきまで嬉しくて、心が弾んでいて、崇にすぐにこの喜びを伝えたかったのに。 空の部室。 誰もいない。 「……ちぇー……」 いねーのかよ、バカ。 いつも隣にいたから……期待しちゃったじゃないか………バカやろう。
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