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ちょっとだけ崇君が気になりつつ、私は受付の仕事をこなした。
何であんな顔してたんだろう?
気になるなぁ……。
これで本当に笑いをこらえてただけだったらかなりヘコむなぁ……。
なんて思いつつ、(台詞をかみながら)受付を続ける。
それにしても正直な話、私には向いてないんだよねー……受付って。
友達に誘われたからやってるけど、私、あがり症だからさ。
仲いい子なら、素の私が出せるんだけどなー……。でも、今から来る人とか初対面の子ばっかりだしなー……。
と、またぼんやり考え事をしていたら不意に肩を軽くたたかれた。
見れば友達が私の前にできた行列を指さして小声で話しかける。
「友紀、つかえてる」
「うわぁっ、ごめんっ」
私も小声で謝ってから受付の仕事を再開する。
うん、一旦集中しよう。
キャラがどうとか考える暇なんか今はないようだから。
しかし、なんだか不思議な雰囲気の少年だったな、崇君…………。
・・・・・・・・・・
これが私と崇の出会いだった。
しかし、仕事を一通り終わらせた時には、私の頭の中に崇のことなんて欠片も残っちゃいなかった。
私もそれから3ヶ月くらいは崇なんて名前を聞くこともなく、思い出すこともなかった。
しかし、不思議と縁があったようで、私と崇は夏休みが始まるほんの少し前に再会することとなる。
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