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普通に結婚して家庭を持ち、母親となり、幸せに過ごす中、日曜の午後なんかに、近所の主婦仲間と家の近くの喫茶店で、おばさんトークをしているなんて、中学生の頃の私には考えられなかった。
なぜなら私は戦っていたから。
そう、世界を救う為に。
敵は遙か銀河の彼方から、地球を侵略すべくやってきている宇宙人。
もしくは世界を闇に覆うために、魔界からやってくる魔物達。
その他、某国のスパイとか、カルト教団や自縛霊とかいたけれど、まあ、他にも色々あったけど、大抵はそんなところだ。
そんな闘いに明け暮れる日々だったので、私は忙しくて学校に行く暇もなく、不登校の日々が続いていた。
ある日、様子を見に来た中学の担任である山田先生が、私の部屋のドア越しに、私がどんなに地球のために、睡眠時間を削りながら夜の街を徘徊し、血と汗にまみれた日々を送っているかと言う話を一通り聞いてから言った。
「それは大変だね、鈴木さん。だけどね、悪者を捜して街の中を彷徨くというのは効率が悪いと先生は思うよ」
それはそうだけど、そうしなければ敵に遭遇することはないし、遭遇しなければ敵を倒す事は出来ず、要するにこの星の平和を守る事なんて出来ない。
昨夜は、私にわいせつな行為をしようと、金銭交渉してきた猥褻星人を二人ほど倒した。
その時に、小学校の修学旅行で行った温泉場で買った愛用の木刀が折れてしまったので、早い内に代用の武器を見つけなければならない。
「……先生さ、知っているんだよね」
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