†夏の始まり†

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  藍色の夜空に舞う 彩り鮮やかな蝶たち… 『やっぱりこの浴衣、咲羅に似合うねっ。』 『そぅ?ちょっと、渋すぎない?私は前の向日葵の方がいいと思うけどなぁ。』 『そんな事ないよ。もう高校生になったんだから、このくらいの方が大人っぽくていいよ。』 『そうかなぁ…?』 今年新しくママに買って貰った浴衣を着付けてもらい、私は鏡の前に立つ。 『よしっ完成!! 大人っぽくていいじゃない!?』 『そうかなぁ…。ありがとう。』 長い髪をアップにし、いつもより厚化粧の自分は自分じゃないみたいで、少し照れくさくなる。 『じゃ、行って来ます。』 『はぁい。あっ、ママも仕事に遅れちゃう。咲羅、気をつけて行って来るんだよ?』 『うん。』 ママに見送られながら、慣れない浴衣を着た私は家を後にした。 最寄りの駅に着き携帯で時間を確認すると、約束の時間よりまだだいぶ早くて、 張り切り過ぎた自分に苦笑いを浮かべた。  
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