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そう言った菜穂姉の顔は女じゃなく、姉の顔だった。
「ありがとな、菜穂姉」
「どういたしまして。今のあなたは昔の桜雅。でも変わった所もある。だから大丈夫よ。彼女もまんざらでもなさそうだし」
「かもしれない。でももう少し考えてみたい。俺があいつを…雅をどう思っているのかをさ」
「そうね。分かったわ。いい答えを待ってるわよ」
その時不意に言ってしまった。
「俺を誰だと思ってるんだ? 榊桜雅だぜ?」
昔何回も言ったセリフを。
それを聞いた菜穂姉の顔は苦笑を浮かべた顔だった。
翌日から雅は学校に来たが何か俺に遠慮をするような態度だった。
もちろんそれを見逃すわけにはいかない。
だが何て声をかければいいか分からなかった。
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