1ー夢カラノ喚ビ声

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粛々と葬儀は進む、不思議と涙は出てこなかった。 お父さんとお母さんが亡くなった時と同じ、何処か遠くに出掛けてしまう家族を見送るような心境だった。 ただ、叔父さんはやり残したことはないのかなと、今となっては意味の無さそうなことを考えていた。 「円香ちゃん、辛くない?」 「はい、大丈夫ですよマリさん。 わざわざ来てくださってありがとうございます」 葬儀が終り息苦しい空気から抜け出した円香の後ろから、白い服の女性が声をかける。 「ゴメンね、喪主なんか任せちゃって。あの人、貴女以外に親族がいなくって」 「大丈夫ですよ、マリさんやイツキさん達が手伝ってくれましたし。 それに、私だってもう大学生なんですよ」 拗ねたような円香に笑顔に、マリもまた微笑みを浮かべる。 「フフ、そうだったわね。じゃあ後のことは私に任せて、円香ちゃんはもう帰りなさい」 「え、でもこれから…」 「これから先は大人のお仕事。会場直したりお偉いさんとお話したり、帰りに飲み屋で一夜明かしたり。 だから、貴女はもうお家に帰って休みなさい」 「マリさんってばまた子供扱いして…私だってお酒飲めるもん」 「あらあら、じゃあ楽しみにしてるわね。とりあえず…そのお楽しみはまた今度、ね?」 「…はぁい」 あやすような彼女の言葉に円香は諦めたようにうなだれる。 ――結局のところ、私はまだまだ子供のままらしい。
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