1ー夢カラノ喚ビ声

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「――ッ!!」 無理矢理意識を引き剥がすように、私の意識は覚醒した。 肩で激しく息をして、指の先まで寝汗でぐっしょりだった。 「…夢、か」 安心して大きく息をする。 背筋が凍るような感覚は、まだ私の中からは消えていない。 でも夢は終わった。 あの身の毛のよだつような想いもしなくて済む。 「まだ夜だったんだ」 近くにあった目覚まし時計は、まだ二時を過ぎたばかりだ。 また眠るのは少し恐いけど、明日もやることがあるから徹夜は辛い。 「……?」 フワリ と夜風が肌を薙ぐのを感じた。 カーテンが煽られたようにほんの少しだけ捲れる。 確かに窓は閉めた筈なのに。 言い難い違和感が胸元から込み上げる。 同時に想起される、先の夢の中の世界。 「…ッ…んッ、やだ…!」 肌が寒い。 息が詰まる。 どうして私は夢なんかで、今までにないほどの恐怖を覚えるのだろう…。 眠ってしまおう。 始めは大変だけど、次に目が覚めた時は全てを忘れている。 思い直し、シーツに手をかける。 「―――え?」 不意に視界に何かが写る。 真っ暗な部屋、 私のベッドのすぐ横 私の目と鼻の先、 すぐ隣の黒い影 黒衣の人型 アリエナイ 真っ暗な中佇む闇 歪に吊り上がる、歯 睨ミツケル紅蓮ノ瞳 ヌラヌラと妖シク蠢イテ その双眼と…はっきりと目が合った おぞましい程ノ狂喜ヲ秘メタ顎ガニタリと吊リ上ガリ… ワタシノスグメノマエニ… ヨウヤク…ミツケタ
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