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「ごめんなあ。勝手に棚卸しやっちゃって」
今日は天気がいい。
図書室裏の踊り場で本を読んでいたら、
そう言いながら誠司がやって来た。
この場所だけは誠司は他の二人にふせてくれていた。
今、学校で一番落ち着く場所だ。
「いや、全然。助かるよ。書士さん僕だけだと頼みにくいみたいけど、角田くんだと気軽に頼めるようだし」
ちょっと騒がしいけどお人よしの角田くんには皆、敷居が低くなるようだ。
「角田、何か頼まれるとうれしいから張り切るからなあ」
そうなのだ。
誰かに頼られたり頼まれりするとうれしい。
それが悪く作用して、今まである人物にいいように利用されてきた。
と、最近彼は気付いて少し変わった。
ハズ。
お蔭さまで一緒にいる率が多くなった訳だが…
僕がそんな状況にちょっとだけ後悔している事を誠司は感じ取って、
少しだけ気にしていた。
元はと言えば、誠司が僕を巻き込んだのだもの。
「高野豆腐の本、面白かったぜ。今角田に回ってる」
「高野豆腐じゃなくて高野山」
猫事件でチラっと出て来た“逆真言”に誠司と角田くんが興味を持ったみたいで、
それなら真言宗の本でも読む?と言ったら、
「しんごんしゅう?」
と二人揃って首を傾げたので、とりあえず高野山の本を貸してみた。
「ああ、高野豆腐!」
と、変な認識をしてるけど。
今まで知らなかった事柄に、二人とも興味津々みたいだ。
まあ、こういう系に全く縁はなさそうだから、新鮮なんだろう。
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