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「ねぇ……。陵(リョウ)?……なんで誰とも付き合わないの?」
西沢 叶夢(ニシザワカナタ)十五歳。
幼なじみの陵と2人で昔毎日のように来ていた河原へ来ていた。
陵が草っぱらに寝転び、私は体育座り。
「…。好きな奴がおんねん…。」
少し躊躇(チュウチョ)しながらも、陵は私の目を見ずに答えた。
『好きな奴』
その存在は、私をどん底へと追い込んだ……。
私は、ずっと昔から陵にある感情を抱いていた
――…
そう―――…。
『好き』という感情を……。
「好きな奴……?」
少しためらったが、その人物が誰なのかという好奇心を押さえ込めず私も、陵の目を見ずに俯(ウツム)いて陵の言葉を繰り返してみた。
「おう…。そいつ、俺が一番始めに惚(ホ)れた奴やねん」
ズキンッ――……
なんで聞いてしまったんだろう……
後悔した……。
「一番……始め?」
後悔したはずなのに、気づいた時には口が勝手に動いていた……。
少しでも、それが自分でありたいという希望を持っていたかったのだろう……。
必死で涙をこらえた……。
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