故郷

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「まぁーたケンカぁ?ったくこりねぇなぁ~。」 お母さんが出かけて、なおも陵と玄関を開けっ放しで言い争っていたら後ろから声がした。 「汰貴(タイキ)っ!!あのね、っだってね、陵がぁっー!!」 「なんで、俺やねんっ!!叶夢が遅いからやんっ~。」 「ったく、二人ともいい加減にしろっ!!」 ベシッ 「痛てっ!!」 陵が殴られた。 「陵のばぁーか。殴られて~んの!!」 「叶夢。お前もだ。」 ポカッ 「痛ぁい。」 頭を軽く叩かれた 「はぁ~。陵も叶夢も、もう九歳だろ?大人になれよぉ。」 友崎 汰貴(トモザキタイキ)、私と同じ九歳。 とは思えないほど、頼りがいがあって、しっかりしている。 つまり、陵とは正反対。 「汰貴勉強はいいのかよ?」 殴られたお腹を抑えながら、陵が聞いた。 「ん?今日のは終わらしてきた」 「さっすが、汰貴だね」 汰貴んちは、お父さんがお医者さんで、お母さんが国際弁護士。 だから、お金持ちだ。 っでも、とても理解のある人たち。 都会より、田舎に住みたいっていう汰貴のためにここへ引っ越してきたの。 勉強は、汰貴から両親に頼んだの。 両親は、『自分達みたいに勉強づめにしたくないって汰貴には勉強しなくてもいいつもり』だったらしいんだけど、 汰貴は、生まれつきの天才というのだろうか……。 塾にも行かず、もう、中学の問題をやっているらしい。 独学で。 小学三年生なのに……。私は、汰貴を心から尊敬してるんだぁ。
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