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そう考えると早く記憶を取り戻したくてその場から立ち去りたくなった。
「…ありがとうございました。お仕事中にすみません。」
「いえ…」
そして朱里に背を向けて陽奏は足早に立ち去ろうとした。
「あ…ッ!」
5歩くらい進んだところで朱里が突然声を漏らした。その声を聞いて陽奏はゆっくり振り返った。
「……?」
「あの…具合どうですか…?」
…具合…?
あ…階段から落ちて気を失ったのに今普通に歩いてるから心配してくれてるのかな?
「あ、平気…大丈夫です。」
そう言って陽奏は惜しみ無く微笑んだ。そんな陽奏を見て朱里は驚いた表情を見せ、すぐに小さく微笑んだ。
その表情が記憶の中の何かとダブりしばらく見入ってしまった。
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