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「やっぱり…!」
総太郎から借りた地学のノートは綺麗に板書されており、自分の判りやすいように解説まで書かれている。バッチリあの日と同じだ。
「陽奏…?」
「え…?」
呼ばれて初めて目の前に春乃がいることに気付く。
「お、おかえり春乃…!」
「ただいま…って、それ誰のノート…?」
少し生臭い香りを纏う春乃の袖が近付いてきた。
普段は花の香りがするのに…
…初っ端から解剖だったのかな?
余計なことを考えていたら春乃の手が総太郎のノートをめくった。慌てて春乃の表情を盗み見ると驚いたような、傷付いたような…何とも言えない表情をしていた。
「…田宮さんの…?」
「あ…うん。地学の教科同じで、授業ついていけなかったの知られちゃって…貸してくれたの…」
「……そう…」
あたしはなぜか春乃の傷付いたような表情を見て優位な気持ちになった。
一一一…?
まだ、何も知らない事実をあたしはいつ、知ることが出来るの…?
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