あの日へ

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  さっきの出来事はなかったかのように気まずい雰囲気もなくなり、いつものように陽奏と春乃は帰る準備をし始めた。 『キャーッ!』 突然教室がざわめきだす。 陽奏は春乃と顔を見合わせると、騒ぎの方へと歩みを進めた。 教室のドアに近寄ると騒ぎの原因が明らかとなった。 「陽奏…!」 総太郎だ。 「総太郎さん…」 「授業のプリントの方渡すの忘れちゃって…はい、これ。」 スッと差し出されるプリントをあたしは戸惑いつつ受け取った。それを見てクラスの皆が悲嘆の声を出す。春乃は声も出ないようだ。 「ありがとう、総太郎さん。」 「いいえ。じゃあまたね。」 そしてゆっくり総太郎は教室を出て行った。 依然、教室はざわついたまま。 「陽奏…帰りましょう…」 「あ、うん…」 春乃は陽奏には目を向けずそう言うとさっさと教室を出ていってしまった。 ずっと立ち尽くしているのもおかしいので慌てて春乃を追いかけて陽奏も教室を出た。 .
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