あの日へ

10/14
前へ
/82ページ
次へ
  黙って陽奏の前を歩く春乃。春乃の後ろを慌ててついて行く陽奏。 この雰囲気は周りが見ても気まずいものだった。 「陽奏」 「は、はい…!」 雰囲気に負け、強張った声で返事をする陽奏。春乃の声はいつもより低かった。 「田宮さんと仲良くなったの?」 「……?」 春乃…? どうしたんだろう… 突然哀しい声音を出して… 「…地学、ふたりだから…」 理由はそれだけではない。 あたしは絶対、総太郎さんのこと意識している…きっと好きなんだと思う。だから仲良くなりたい、親しい関係になりたい… それがいけないこと…? 春乃が哀しくなるようなこと? 「どうしてそんなこと聞くの?」 「一一一」 あたしはこの時、春乃も総太郎さんのこと意識していると思った。 そう思ったときのあたしは…こんなにも憎悪で満たされていたんだ、と思い知ってしまった… .
/82ページ

最初のコメントを投稿しよう!

14人が本棚に入れています
本棚に追加