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黙って陽奏の前を歩く春乃。春乃の後ろを慌ててついて行く陽奏。
この雰囲気は周りが見ても気まずいものだった。
「陽奏」
「は、はい…!」
雰囲気に負け、強張った声で返事をする陽奏。春乃の声はいつもより低かった。
「田宮さんと仲良くなったの?」
「……?」
春乃…?
どうしたんだろう…
突然哀しい声音を出して…
「…地学、ふたりだから…」
理由はそれだけではない。
あたしは絶対、総太郎さんのこと意識している…きっと好きなんだと思う。だから仲良くなりたい、親しい関係になりたい…
それがいけないこと…?
春乃が哀しくなるようなこと?
「どうしてそんなこと聞くの?」
「一一一」
あたしはこの時、春乃も総太郎さんのこと意識していると思った。
そう思ったときのあたしは…こんなにも憎悪で満たされていたんだ、と思い知ってしまった…
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