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しかしそんな平凡な登校もいいなと思うと心地よい風が桜の良い香りを運んできてくれました。
そんな匂いに釣られて校庭まで足を運ぶと言葉を失いました。
校庭の桜が満開で、まるで学校という固定概念を覆すかのような荘厳な眺めです。
全ての木々たちは何十年、何百年という年月を生きてきたという威厳に満ち溢れ、僕はそんな木々たちを前にしてしばしば圧倒されていました。
まだ時間はあるでしょう。そう思いながら校舎に備え付けてある時計に目をやるとまだ長い針は8時すら指していません。
このとき、時計のガラスが割れており、小さなボールぐらいの穴があったのはスルーすることにしました。
そして寝れるのに良い木を捜しだし、そこで新しい制服だということも構わずに僕は桜の香りの優しさと春の陽気が重なってまどろみの中に意識を手放しました。
◇ ◇
……くん、今度またあったら、……にしてよ
そうよ……にしなかったら許さないんだから
――キーンコーンカーンコーン
「――んっ…」
ある意味スタンダードすぎるチャイムの音で目を覚ました僕はある意味スタンダードすぎる存在なのかもしれませんね。
と寝起きだからか意味もないことを考えながら目が覚めました僕です。
暖かい陽気だったのですぐに眠気が襲ってきたのですが、やはり外だったということもあり睡眠が浅く変な夢を見ていました。
その夢はいやに現実味を帯びており、はっきりと鮮明でした。
しかしそんな夢が懐かしい気がするのは恋愛小説の読みすぎかアニメの見すぎだという理由として片付けました。
では入学式に遅れないようにも早めに教室に行こうとして立ちました(歩くための意味で)。
しかし状況はエマージェンシーでした
現在、11時。
ご愁傷さま天宮くん。
てへっ☆欠席です。
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