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空襲警報が鳴ったのは、
1945年8月6日の朝でした。
「防空壕へ急ぎましょう!」
当時6歳だった私は、母にそう言われました。
母と姉の久子、そして兄の正〈ただし〉と共に私は防空壕へ行ったのです。
「大村さん!」
防空壕に駆け込んだ私たちを、呼んだのは隣の家に住む、53歳の、アキおばちゃんでした。
そして、隣にはアキおばちゃんの旦那で57歳の三郎さんが、いました。
「おぉ、ハルちゃん!」
三郎さんは、母の名を呼ぶと手招きをしました。
三郎さんと母は昔からの知り合いなのです。
しかし、母が5歳の時に当時、29歳だった三郎さんは仕事で足を不自由にしてしまったらしいのです。
だから、三郎さんは兵隊になれなかったのだそうです。
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