セピア色

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「ただいま」 バイトの帰りで遅くなる日々 もちろん鍵はいつも占められていて 家は真っ暗 そっと鍵を開けて 冷たい寂しい家に入る けれどすべては家族のため こんなことは我慢することでもない そんな日々に慣れた頃 「あら、帰ってきたの?」 嫌々そうにわたしを母が見つめる 「あんたなんかいらない子」 いつからか母のイライラはわたしにぶつける度に 大きくなり とうとう わたしの存在を否定した いらない子 頑張っても頑張っても 母は当たる場所なく冷たい言葉と視線をわたしに投げる 温もりも優しさもなくなったこの家は わたしの帰る場所を失わせた
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