第一章 少年編

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僕が初めて殺意を覚えたのは七歳の時だった。 『名札を忘れたぁ?立ってろ。』 担任に言われ、教室の後ろに立たされる。 全ての授業が終わるのを怯えながら。 『さようなら。』 『さようなら!』 立たされた僕を残して、クラスメイトがどんどん帰っていく。 『さぁて…』 担任が近寄ってくる。 『ゴメンナサイ…』 言い終わるとほぼ同時に、容赦ない一撃が頬に与えられる。 『この屑!鬱陶しいんだよ!』 罵声とともに振るわれる暴力。 いつもの事だ。毎日必ず一定の誰かの非を見つけ、下校前にやられている行為。 馬鹿だった僕は、自分が悪いから、自分が至らないからとその仕打ちを耐え続けた。 しかし…ある日自分に非が無くても、いたぶられて気付いた。 ああ…僕は、楽しむ為の道具にされていたのか。 そして、ある衝動に駆られる。 その時は、その気持ちに戸惑うだけだった。 しかし…大きくなってその衝動の意味を知ると、僕はその担任を心から憎むようになった。 ヨクモコンナキモチヲオシエタナ…。 暗き人生(みち)への扉が開いた…。
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