2/2
前へ
/78ページ
次へ
私は恋をした。 会社に行く電車で同じ車両になるあの人。 難しそうな本を電車に揺られながら読んでいた。 ガタンと揺れた時、あの人の手から本が落ちた。 それを私が拾ってあげたのが初めて会話をした時。 ただ一言。 『有難う』 会話でも何でもないけど私は嬉しかった。 それから電車で逢えば私に向かって微笑んでくれる。 段々惹かれて行く。 声を掛けたい。 声を…… 意を決して電車が来る前に肩を叩いた。 軽く叩いたつもりだったけど力が強すぎたみたい。 突き飛ばしてしまった。 グシャリと何かが潰れた音。 私の恋は終わった。 次の恋を探さなきゃね……
/78ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1030人が本棚に入れています
本棚に追加