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冷めた味噌汁をすすりながら、俺は横目で広い和室を見回した。
値の張りそうな巨大な卓は、一本の木から削ったもので、上座に据えられた当主を中心に桜井家、その右隣に妹夫婦とその子息、左隣には俺を含む美山家が、等間隔に並べられた指定の位置の座布団に座り、それぞれが皆無言のままに、朝食に箸をつけていた。
――姉さん、母さん、夜音に…‥後はおばさんか
この晴れた日常の中で、数人だけが切り取られたように重い顔つきをしているのだから、朝餉の席に顔を出した時点で、誰があの本を読んでいたのかは、火を見るよりも明らかだった。
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