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俺が冷静でいられたのは、何も自分の運命に安堵していたからではなかった。
俺は、俺が立てた『計画』に、無意識の内に自信のようなものを抱いていたのかもしれない。
それは、あの本と現実との間にある、この弁解しようもない相違点に気が緩み、『呪い』というそもそもの不確かな存在を甘く見ていたからでもあったし、第一この『計画』自体が、呪いの渦中で命を落とすであろう全員の救済にはなっていないのだから、その程度の筋書きをねじ曲げる事くらい、美山の長男である俺にとっては容易いものであると、自覚のないまま、確信していたのかもしれなかった。
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