プロローグ

8/22
前へ
/22ページ
次へ
それでも、当初は「運命を変える」「忌々しい筋書きを、俺の手でねじ曲げなくては」という類いの使命感のようなものを持っていた。 しかし、いつからかそれが「せめて記録の最後に散ってゆく彼一人でも助けられれば」という個人的な感情に変わり、「不幸にも、桜井の双子の片割れとして生まれついてしまった彼こそが、彼だけが救われればいい」仕舞いには、心の中でそう繰り返すようになっていた。 まるで、そう思う事が当然であるかのように。 だからこそ、この独りよがりな考えこそが『呪い』故であるのだと、この時俺はまだ気づけずにいたのだ。
/22ページ

最初のコメントを投稿しよう!

3人が本棚に入れています
本棚に追加