老犬が

5/5
前へ
/51ページ
次へ
しかし僕は桜の精でも守り神でも守護霊なんかでもありませんから違うと言いました。 (そうか) 一言そう言うと老犬は、しばらく桜をしみじみと眺めてから、去って行ったのでした。 僕は老犬の後ろ姿を見て (まりちゃんを探す手伝いをしてくださいませんか) と必死に呼び掛けましたが、耳が遠いようでそのまま行ってしまいました。 僕は一人では動けないのです。 まりちゃんを探すには動かなくては探せないのです。 僕はずっとその辺りに念を送り続けました。
/51ページ

最初のコメントを投稿しよう!

11人が本棚に入れています
本棚に追加