250人が本棚に入れています
本棚に追加
すぐさま我に返った華は立ち上がった。
「私…ベルを捜さないと!!」
「もう見つけた!!」
お尻をはたきながら立ち上がる棗を華は驚いたように見つめた。
「見つかったの?」
「うん。 ベルはすぐに見つかったけど、ベルを捜しに行った華がなかなか見つからなくて捜してたんだ。」
どうやら、華は捜す人から捜される人になっていたらしい。
「華、疲れただろう?
僕の部屋に行こう。そこにベルもいる。」
「うん」
まだドキドキしてる…
変よ…11歳の子供に……
迷路の様な入り組んだ廊下を、棗は進んで行く
けれど時折、後ろを向いて華を確認するのだった。
「華……手繋いで?」
「え!? どうして?」
「不安なんだ…。華がまた迷子に…僕の側からいなくならないように…しっかり繋いでおくんだ」
差し出された棗の手を華はしばらく見つめる。
迷子になんかならないよ…
着いて行ってるんだから…
「華…」
「………うん」
そう心の中で文句を言いながらも、華は棗の手を握った
また高鳴る心臓に華は気付かない振りをして歩くのだった。
最初のコメントを投稿しよう!