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「坊ちゃん…昼食の準備が整いました」
「入れ」
棗の言葉と同時に扉が開くと、北村が二人分の食事を運んで来た
「……華さんはどちらへ?」
「………あそこだ」
棗が指差す場所は部屋の隅。
「僕が何度声を掛けてもこっちへ来ようとしないんだ…」
華はベルと一緒に部屋の隅で体育座りをしていた。
最初は棗と同じ様に部屋の真ん中にあるソファーに腰掛けていたものの、今まで狭く、物がひしめき合っていた中で生活していた華にとって、棗の部屋はあまりにも広すぎて居心地の悪い空間だった。
「華、昼食だからいい加減こっちに来て!!」
「いらない…お腹空いてな…」
ぐうぅぅぅ~…
口ではそう言っても、体は正直なもの。
華はお腹を押さえて体を縮こませた。
どうして鳴っちゃうの!?
私のお腹のバカッ!!;;;
棗はそんな華の姿を見た後、スコーンの乗った皿とミルクの入った器を持って華のいる部屋の隅に近付いた。
「華がここから動かないって言うなら、僕もここにいる。
ここで一緒に食事をしよう」
持ってきたスコーンとミルクを床に置くと、自分も床にあぐらをかいた。
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